この本を作る3つの目的


1. 朝比奈助産師が多くの女性に語りかけてこられたことを
  記録に残したい!


 妊娠・出産という営みがますます多くの医療技術に支えられる時代にあって、朝比奈助産師が勧める自然なお産は、女性が自分の身一つでするお産です。超音波検査などは必要最小限に。自然なお産を望むなら何よりも妊婦さん自身の心と体の準備が大切と、お産に向けた心構えを伝えながら、運動を促し、自身の生活をより自然な形に整えるようにと促してこられました。そしてここで産んだ女性たちの多くが、自身のお産を「幸せな体験だった」と肯定的に振り返ります。その時間の中にどんな対話や関わりがあったのか。その内容を取り出し記録に残したいというのが、本書製作の第一の目的です。




2. 自宅・助産院出産の風景を知ってほしい!


 出産場所を調べた統計によると、戦後の急速な施設化の流れ以後、助産院出産・自宅出産は減少の一途をたどり、今や0.6%に(2019年現在)。出産年齢の高齢化、ハイリスク妊婦の増加といったことも背景に、99%の人が病院・診療所での出産を選択します。その結果、友人・知人などから助産院・自宅出産の体験を耳にする機会も限られ、「もし何かあったら危険じゃない?」と敬遠されがちに。しかし、日々のくらしの延長線上で産む、家族に支えられ、信頼関係を築いた助産師さんに支えられる安心感を土台にして、自分の身体を使って自分の力で産む、そういった助産院・自宅出産ならではの良さもあります。この記録がそれを伝えるものになればと願っています。

3.一人の担当助産師が、妊娠中から出産、産後の子育て導入期を、継続してサポートしてくれることの良さを伝えたい!


 女性にとって、初めての出産・子育てはわからないことばかり。特に今は、出産までに赤ちゃんに触れる機会も少なく、核家族であることも多く、支援をお願いできるような地域のつながりも希薄になっています。また妊娠・出産期は、仕事の調整や家族関係の変化など、ライフステージの過渡期にあって悩みも増える時。そんな時に、一人の担当助産師さんが妊娠期から子育てに入る頃まで、継続して伴走してくれることは大きな支えとなります。安心してお産に臨めることはもちろん、時には妊娠・出産の体験を通じて新たな学びや気づきを得て、より人間的に成長する機会となることも。
 朝比奈さんも、「自然なお産は手仕事、たくさんのお産はできない」と受け入れ人数を限り、一人ひとりのお産に寄り添ってこられました。今も、地域開業しお産を取り扱う助産院の多くが、一人の妊婦さんに担当の助産師がつき、お産も含めて継続的に支援する”継続ケア”を行っています。記録の中からは、そんな風景も伝わります。